今回は、映像制作の表現において重要な【アスペクト比】について考えていきたいと思います。
今回も一緒に勉強していきましょう!
【アスペクト比】とは
アスペクト比とは、画像の縦横サイズの比のことです。
例えばスマートフォンの一般的なアスペクト比は、【16:9】です。
アスペクト比は、写真や映像の歴史でもあります。
時代によって進化してきました。
映画における【アスペクト比】の歴史
映画におけるアスペクト比の歴史について見ていきましょう。
アスペクト比は、使用するメディアによって進化してきました。
映画で使用されたアスペクト比は様々な種類があります。
主な映画のアスペクト比一覧
- スタンダードサイズ(1.33:1)
- アカデミーサイズ(1.37:1)
- ビスタサイズ(1.66:1)(1.85:1)
- シネスコサイズ(2.35:1)
出典:Studiobinder
スタンダードサイズ(1.33:1)
スタンダードサイズ(1.33:1)は、当初に採用されていた映画のアスペクト比です。
サイレント映画時代は、この比率でした。
いわゆる『4:3』とも言われている比率なんですが、これはフィルムを発明したウィリアム・ケネディ・ディクソン氏が決めたと言われています。
ここが出発点になったんですね。
そのほかでは、テレビや16mmフィルムのアスペクト比も、このスタンダードサイズ(1.33:1)になります。
出典:Mixing Light
補足説明
このあとに『シネラマ』という規格が登場しますが、映画でほとんど使用されなかったようです。
アカデミーサイズ(1.37:1)
出典:BFI
アカデミーサイズ(1.37:1)は、1930年ごろに音声映画が登場してから採用されたアスペクト比です。
それ以来、しばらくこのアスペクト比の時代が続きます。
現在の映画でも、このサイズを採用する意欲的な映画がいくつかありますね。
・Elephant(2003)
・Fish Tank (2009)
・Laurence Anyways (2012)
・The Grand Budapest Hotel (2014)
などがあります。
ビスタサイズ(1.66:1)(1.85:1)
(1.66:1)↑
(1.85:1)↑
ビスタサイズは、パラマウント社が開発した『ビスタビジョン』方式で得られるアスペクト比です。
アメリカ(1.85:1)とヨーロッパ(1.66:1)方式があり、アメリカ(1.85:1)方式は、映画館で一般的に使用されているアスペクト比になります。
シネマスコープサイズ(2.35:1)
シネマスコープ(シネスコ)サイズ(2.35:1)は、アナモルフィックレンズで撮影されるアスペクト比です。
20世紀フォックスが開発したアスペクト比で、現在も映画館で使用されるサイズの一つです。
現在の映画でのアスペクト比について
以上、映画のアスペクト比の歴史を見てきましたが、現在の映画におけるアスペクト比について見ていきましょうではありませんか!
現在の映画界は、フィルムとデジタルが混在している状況ですが、編集はデジタルが主流になっています。
なので、アスペクト比は自由に後から設定できるんですね。
アスペクト比は、映画の内容を伝えるための手段になっていると思います。
現在は、実に様々なアスペクト比の映画があることがわかります。
いくつか例をあげましょう!
2:1のアスペクト比
最近増えてきているのが、『2:1』というアスペクト比です。
1990年代後半に登場したこのアスペクト比ですが、劇場で一般的に使用される
『1.85:1』『2.35:1』のちょうど中間になるこのサイズは、横に広く見せつつも縦の幅も確保できるサイズなのです。
最近だと、デヴィッド・フィンチャーが監督したNetflixのドラマ『ハウス・オブ・カード』で採用されています。
出典:CINRA
他には、
ロードトリップ映画『グリーンブック』
新感覚のホラー『ミッドサマー』
アカデミーサイズ(1.37:1)
一部のアーティスティックな映画監督の間で使われているのが、アカデミーサイズ(1.37:1)です。
『わたしはロランス』
出典:Cine Grulla
カナダの新進気鋭、グザヴィエ・ドランが監督した『わたしはロランス』は、ほとんどが『1.37:1』で制作されています。
『グランド・ブダペスト・ホテル』
シニカルでユーモラスな人間ドラマを描く、ウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブダペスト・ホテル』。
シンメトリーを多用する独特の撮影スタイルに非常にマッチしています。
Netflixサイズ(1.78:1)
インターネットでの映画視聴が定番になってきた現代のスタンダードとも言えるのが『Netflixサイズ』です。
これは、『16:9(1.78:1)』というサイズで、PCやスマホで見るのに適したサイズで、Netflixはこのサイズで統一しているとのことです。
まとめ
アスペクト比は、映像制作の歴史でもあると感じました。
今までは、あまり意識せずにとりあえず『シネスコにすれば映画っぽくなる』などと考えていましたが、浅はかだと思っています。
アスペクト比は、映像表現においてとても重要なファクターの一つであることがわかると思います。
何をその映像で表現したいのか、どうすれば表現できるのか、アスペクト比はその選択肢の中の一つなんですね。
これからも、映像表現について一緒に学んでいきましょう!
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